世界が滅んだ。
何を言っているか分からないと思うが、確かに世界は滅んだのだった。でも『はいおしまい』と出来の悪い昔話みたいに行かないのが現実だ。
芹雅は一人、滅んだ世界に立っていた。
ぼー、と空を見上げるその瞳にはどことなく現実感がなく、先までの真っ赤な世界が浮かんでいた。
…
事の始まりは、どこかの国のテロだった。かもしれない。気がついた頃には収拾がつかないほどの悪意ある情報が飛び交っていて、一般人だった雅には正確な情報など届かなかったから。スマホという便利な情報機器が近くにあるとこんな弊害が出るなんて知らなかった。まぁ、情報の授業で聞いた気がしたけど、もう忘れてしまった。
何処か国の一番偉い人が核兵器のボタンを押した。なんてその情報が届いた頃、自分の国の一番偉い人が核兵器のボタンを押したらしい。
核兵器が落ちる前にどこかの国へと核兵器を、
なんて最後っ屁のつもりかどこの国も簡単に核兵器のボタンを押して、見る見る間に空には飛行機雲が飛び交っていた。最後に見たのは、落ちてくる核らしいミサイルが地面に落ちる瞬間だった。
青空が真っ赤に染って、場違いにもこれが終末かと感動を覚えたのも確かだった。
なのに、なのに
雅は再び目を覚ました。
目を開いて最初に見たのは、倒壊した自らの家。
怪我ひとつない自身の両手と、真っ黒に炭になった家族らしき人型の塊それだけだった。
目覚まして最初に思ったのは、謎の納得。
これは寿命じゃないから死んでいないのか、という謎の理論に対する信頼に足る納得のそれだった。
別に死んでいる間に神らしき何かと話したわけでも世界の真理的な何かとあった訳ではないけれど、ただ何となく自分は寿命以外で死ぬことは無いという常識のような非常識な知識を得ていたのだ。
家族の死を悼むことも無く、立ち上がった。
屋根は吹っ飛んでいて慣れ親しんだ家が随分見晴らしが良くなっている。道だって、舗装されたばかりだと言うのに見るも無惨な獣道になっている。
見渡す限りまるで人の影はなく。
ああそっか、世界は終わったのかと雅は納得した。
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小説が書きたくなりました。